インターネットに対する根源的に嫌なこと


フリーランスになって1ヶ月と少しが過ぎました。

1週間のうち2日は自由が丘にあるお菓子屋さんへ、その他およそ3日は渋谷で作業したり、打ち合わせで山手線をクルクルしたり、なんというかほんと気の多い小動物のような脈拍数の速い動きをする毎日。アドレナリンが自分の背骨みたいになっている。

この1ヶ月でいろんなことが過ぎ去ったけれども、その中でおおよそ15本の記事を書いてたみたい。まさかこんなに文章を書く日々になるとは思ってなかったので、それはそれでびっくりしてる。「えいっっ!」て独立という蓋をあけてみると、自分の思った方向とは違う場所に、必要としてくれる場所があった。市場価値って、世の中に晒されないと意外とわからないものみたいです。でも、必要としてもらえることほど、嬉しいことはない。

ある記事はよくバズって、テレビ局からの取材オファーをもらえてめちゃくちゃ嬉しかった。
ある記事は届くべき場所に届いて、アクションを起こしてくださる人がいた。
ある記事はバズりすぎて、大企業のサーバーを落としてしまった。(ごめんなさい。)
水を得た魚とはこのことで、インターネットで影響の輪が広がっていく様子を目の当たりにするとゾクゾクする。


でも、すっげーーーーーーーーーーーーーー悔しいこともある。

それは、インターネットに対する根源的に嫌なことだ。その「嫌」な対象は、そこにいる自分自身でもあって、なおさら嫌だ。やはりここでは誰もが、自分が主語になる非常にパーソナルなメディアを持ってしまっている。自分が見ているのは、自分のタイムラインでしかないんだ。

Google Earthで一番よく見られる地域ってどこかご存知ですか?
それは観光地のパリ?NY?それともエアーズロックや万里の長城…ではなくて「その人の近所」らしい。確かに私も、ずっと自分の近所を見て楽しんでいた。

Webメディアで一番よくクリックされるバナーってなんだと思いますか?
綺麗な女性や、刺激的なキャッチコピー…ではなく「知っている人の顔」だそうです。確かに私も、友達の記事は絶対に読む。

そう。知的好奇心の半径がどんどん、おそろしいほどに狭くなっているんだ。

そんなインターネットの渦の中にいた私の、「取材で感動したランキング」を塗り替えてしまったのが、北海道の牧場主である新村さん。人生観を変えられるほどのものが詰まっていて、自分のぬるさに反省したし、それ以上にその衝撃を受けられて本当に本当に良かったと感謝した。この記事です。 http://www.bake-jp.com/magazine/?p=408 ※ちょっといま重いかもですが、20秒ほどすると出てくるかと。ご辛抱いただければ幸いです。。

でも自分が非力で、伝えきれない。強力な拡散器になれない。だって、きっと半年前の私であっても「牧場の記事」は読まないもの。それは自分の興味半径にはないものだから。飲んでいるのに、食べているのに。なんて盲目なんだろう。

ああ非力だ。テレビなら、それを無理矢理にも伝えられるだろう。芸能人が言えば? 届けられるかもしれない。
なんてしょぼいんだろう。小手先でしかないじゃない。インターネットでインターネットのことを伝えるしか芸がないなんて。

はじめてインターネットに触れた9歳のとき。その可能性の広さに感動した。
ここから無限の世界が広がると思ったし、夢中になった結果、確かに私の世界はめちゃくちゃ広がった。就職も、独立も、仕事をいただくのも、最高の友達ができるのも、すべてがインターネットの恩恵の中にある。

子どもの頃から、たくさんのことを発信してきた。大学時代に、発信する仕事に就きたいと思った。
でも、インターネットの外にある、あなたの興味半径外の、でも本当に伝えたいことを、どうすればもっと本質的に、強く、広く、語りかけられるんだろう。

まだわからない。きっと人生をかけての課題になるかもしれない。トライ&エラーしかないんだな。

駆け出し1ヶ月目でなに言ってんだって感じだけど、悔しくってさ。

しかし、書いて書いて書きまくってるけど、日曜日の気分転換がブログ更新だなんて、自分は本当にインターネットが大好きなんですよ。だからここの可能性を、ひたすら信じて戦いたいです。

サムネイル画像は、インターネット外から感動をもらった、北海道のうつくしい空気を通してみる夜でした。