ネイティブ広告のこと


昨夜の私のツイートがきっかけで議論がおこってしまい、その結果、ネイティブ広告に関わる多くの方のお時間を割いてしまうこととなりました。

そのツイートはこちらです。

最初、私は「ネイティブ広告のあたらしいハンドブック? なにか新ルールができたのかな? じゃあ読まなきゃいけないな」と思って目にしたところ、そこには歴史や言葉の概念、事例などがまとめられた52ページのPDFがありました。読み進めていく中で「なかなかルールのことが書いていないな……」と思って、先のツイートをしてしまいました。

ですが、同ハンドブックの7ページ目にはこのような記載があります。


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(以下引用)

業界とユーザーとの Win-Win、高い広告効果の提供による、媒体社と広告主の
Win-Win など、ポジティブな要素が「ネイティブ広告」には満載だ。それらを示すた
めに、ネイティブ広告の類型、効果への考え方、効果仮説など、次章以降で触れてい
くが、ネイティブ広告をより実務的に理解し、現場で利用してもらえるような知識と
知恵を提供することをこのハンドブックでは目論んでいる。

本ハンドブックは、媒体社、広告会社、メディアレップ、アドテクノロジー企業な
どの広告サービス提供者側はもとより、実際に広告キャンペーンを実施する主体者に
なる広告主も含め、幅広い読者を対象にして広告に絡むあらゆる人々に「ネイティブ
広告」を享受していただくために作成した。ぜひ活用いただきたく思う。

(引用ここまで)

『ネイティブ広告ハンドブック 2017』P7より
http://www.jiaa.org/download/JIAA_nativead_handbook.pdf

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「知識と知恵を提供」とあるように、「最低限抑えれば良いルール」だけを記載している「3分でわかるネイティブ広告!」といった類のものではありませんでした。

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■卒論は「文字ばかり」で当然だった

たとえば、私は大学卒業時に一所懸命「アートの媒介者になるために」というタイトルで長い長い卒業論文を書いたのですが、それをネットで見かけた後輩が

「この卒論、文字ばっかりで読みにくいし、理解できない!」

とツイートしていたとしたら、

「そもそも卒論とはそんなもんだし、書いてある内容も美大生にとっては難しくないんやで!」

と返したくなっただろうな、と思います。

このガイドブックを作られた方々の努力も知らずに、「読みづらい!」と反応してしまったことは、オウンドメディアやネイティブ広告を仕事にし、ましてやそのテーマで登壇や寄稿をしている身である上で、大変浅はかでした。

また私自身、「大勢の読者に読まれる記事にするためだけに、記事のレベルまで落としていく」というWebメディアの現状は非常に恐ろしいことだと思っています。

(場合によっては、私自身がそのような手法も取ることもあるので、お前が言うな的な話ではあるかと思うのですが……)

小学生の頃からインターネットに救われ、生きがいを見つけ、ネットの向こうにいる多くの方々に励まされてきたからこそ、「インターネットで素晴らしい情報を少しでも広められる存在になりたい」と、SNSを使い、ブログを書き、会社を退職した去年からは「個人としての情報発信」が仕事になりました。

私は素晴らしいクライアントの商品や場所、想いを記事にする仕事が大好きですし、そこで生まれた感動がだれかの心を揺さぶる瞬間に立ち会うと、生きがいを感じます。だからこそ、この仕事の素晴らしさをテレビや雑誌、Webメディアの取材でも語っていました。

ですが、そう話す私が先のツイートをしてしまったことによって、

「Webライターの若手は総じてレベルが低いのではないか」

という懸念を抱かれた方も、少なくはないと思います。

このことは同業の若手や、この世界を志す後輩に対しても誠に申し訳ない限りです。

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■増え続けるWebメディア、異業種からの参入

今、私の周囲ではスタートアップや個人事業主の方々が中心となり、どんどん新しいWebメディアを立ち上げています。

ブログやTwitterで読者・フォロワーが増えて、「小さな成功体験」が重なった結果「もっと情報発信したい!だから自力でメディアを立ち上げよう!」という前向きな希望が湧いてくる状況は素晴らしいですし、私がインターネットを好きな理由はそこにあります。

そのような動機でWebメディアを始める方々は、既に「個」としての影響力がありますし、今後もっとその影響力は強くなるでしょう。

ですが、彼・彼女らは異業種からの参入がほとんどで、ネイティブ広告への知識が少ない方々もいるというのが現状だと思います。

そんな方に向けて、これまで私は

「ネイティブ広告はこうしたらもっと読まれるようになるよ」
「ツイッターはこう使うと効果的だよ」

といった実務レベルのレクチャーなどをしてきたのですが、今後はハンドブックにある内容をしっかり理解し、ハウツーだけではない文化的側面やマイナス面なども伝えていかなければいけないと痛感しております。

■知識を共有できる場

本件をふまえて、ネイティブ広告にまつわる勉強会を開催したいと考えています。

「業界の方向けの会と、個人でSNS発信をしているような異業種の方向けの会は、分けたほうが良いのでは?」というご意見や、ゲストの方々との調整もあり、開催時期や場所は相談中です。ですが、近いうちに告知できるよう準備を進めてまいります。

その会に参加できない方のためにも、レポートなど積極的に発信できる状況にします。

前向きな会に出来れば、嬉しく思います。

塩谷 舞

・『ネイティブ広告ハンドブック 2017』はこちら