今回もイベントレポートです。
(前置きが長いゆえ、良かったら「ここからが本題です」から、どぞ!)
のっけから個人的なお話で恐縮なのですが、CINRAで働いて3年目、今期から、「制作ディレクター」から「広報」に異動になりました。
その経緯はFacebookで長々と書いたので割愛するのですが、
20人ちょっとのベンチャーな会社で、
「広報」という役職に人が就くのは初めての試み。
もちろん広報部署がドーン!とある会社のやり方とも違う。
いざ始めよう!となったときに、営業との違いは??プレスリリース打ちまくるの?ソーシャル発信??それでのKPIは???
と、疑問だらけのスタートでして。
わからないことは先人に問うべし!と本などを買い漁っていたところですが、
そんなタイミングで開催されたイベントがこちらです。
いい時間vol.02
—明日から使える!メディアに掲載されるための広報戦略—
めっちゃ私得ーーー!行くしかないやつーーーー!
ということで参戦した二回目の「いい時間」では、本当に明日から使えるハウツー&心意気がバンバン教えられました。
あまりにも使えるので、まじでちょっと言いたくないわーと、独占欲もふつふつと沸いて来ましたが、、今はシェアの時代。。。
以下、本当に明日から使える、広報のハウツー&心意気を、レポートさせていただきます!
さて。今回のゲストは、
シリコンバレー発のテクノロジーメディア「TechCrunch Japan」の
編集記者でもある岩本有平(いわもとゆうへい)さん。
硬派な新聞社系メディアからスタートアップWEBマガジンまで、あらゆるメディア編集を経験されてきた方です。
もう一方は、パソコンメーカー「エイサー」の広報を経て、
現在はフリーランスでPRをされている砂流恵介(すながれけいすけ)さん。
砂流さんは、エイサー製のPCにユーザーがアップルマークを貼ろうとしてるこちらの記事など
物議をかもすような「ゲリラ広報」戦略をされたりと、ウィットに富んだお方!
こんなゲストのお二人に、面白くってノリのいいLIGの副社長ゴウさん&バーグハンバーグバーグの柿次郎さんが
色々質問していく形式が、セミナーというよりも、まるでアメトーーーークのような「いい時間」。
左から、岩本さん、LIGゴウさん、バーグ柿次郎さん、砂流さん。
(セミナー開始直前、会話を弾ませるためにちょっとだけ乾杯だよ・・・の図。柿次郎さん白飛び、すません。)
それでは「いい時間」。まずは、岩本さんタームからスタートです!
▲ ▲ ▲
広報の役割として「メディアに取り上げられるように根回しをする」というのは
とても重要なこと。
そこでWebメディアのプロフェッショナルである岩本さんが、
「どのようにアプローチすれば、メディアに取り上げられやすくなるのか?」
ということを、根掘り葉掘り教えてくださいました。
まずはWebメディアの全体像から。
ブログをメディアと捉えるかどうかは意見もありますが—と言いつつ、こんな感じでしょう、と。
(我らがカルチャーメディアCINRA.NETは、左下の枠に入るのだろうかな…?)
(ちなみにこの図表全てカバーしているのが、Yahooなどのポータルメディア。)
つまり、一言にWebメディアと言えども、規模、影響力、発信形態などなどで、色々あるんだぜってことです。
そこで注意すべきは、
「同じプレスリリース、同じ文言で、新聞社と、ブロガーさんに持って行っても、両方には刺さらない」
ということ。
それぞれに在籍している編集部の守備範囲も、アウトプットの形も全く異なるのに、
「報道関係者様各位」でPDF送られても、響きにくいですよね。
更には、編集者も全ての業界に明るい訳じゃないし、知らないことだってあります。だから、あまりに専門的な業界用語を並べてリリースをしても
「このリリース来たけど専門的すぎてよくわかんねえや…」で終わっちゃったり。その逆もしかり。
リリースを送るという行為にも、相手に合わせて調合する…といった、繊細なテクニックが必要な訳です。
相手を知ることも、自社を客観的に見ることも大事なんですね。
そこで岩本さんがほろっと、
「若い会社だと、コミュニケーションに長けた若い女の子が
いきなり広報になって手探りで頑張っていたりするんですけどね。」と言われて、
これは要注意です。
つまりは、広報=ワイワイ華やかにコミュニケーションを取る仕事
じゃないんだぞ、ということですね。
そこには確かな、戦略的テクニックが必要だ、と。
なるほどーーと思ってふんふんメモを取っていたら……
司会のひとめっちゃこっち見て来る・・・・
「しおたんのことやーー!!!」って顔でこっち見て来る。。。!
・・・わたし若い会社で広報に就任したコミュニケーション系若い女子ですが、
ノウハウをしっかりと会得し・・・・頑張りたい所存です。戦略的に。
そして、岩本さんのお話でめちゃくちゃ響いたのが、
広報として自社製品(orサービス)だけを押し出すのではなく、
その製品が位置している市場や、そこにあるストーリー、
更には世の中の流れまで考えることで、ぐっと掲載されやすくなる。
というアドバイス。
具体的に言うと、
「○○社が○○という新しい商品販売したらしいっすよー。スゴイー!」
というだけの記事はめったと見ないですよね。
逆に「現在の社会の流れがこうだから、それに乗った○○社が○○という製品をつくって、対する競合は○○をつくって、それで未来はこうなるかもしれない。」
みたいな感じに、広い枠組みで捉えた記事の方が圧倒的に多いし、読者にとってどちらが有意義な記事であるかは明白です。
だから、リリースの段階で、自社製品だけではなく、市場のこと、ストーリ、そしてその先の流れまで伝えられた方が、ぐっと掲載されやすくなるよ!ということでした。
もちろん、CINRA.NETのようなカルチャー系メディアは「○○の1stアルバムがリリース」なども記事になるので、一概には言えませんが、取り扱う商材によってはめちゃくちゃ効果を発揮しそうです。明日から使いましょう。
そして、メディアと付き合うときに気をつけるところ六箇条を伝授いただきました。
- 「媒体ごと」ではなく「担当者ごと」に記事を見てみる。
編集部内でも、人によって得意分野は異なる!媒体に送るのではなく、
編集者の特性を知ってその人に向けてお届けするべき。 - 事前のコミュニケーションを心がける。
いきなり1時間後に記事公開して!ってリリース送られても、どの編集者も
「今忙しくて書けないからっっっ!!!!!!」」」になっちゃう。
信用できる人だけで良いので、発表の2、3日前には事前リリースを。 - WebメディアのPVが上がるのは、朝イチ、昼前後、夕方帰る前。
社会人がSNSをチェックする時間帯に、WebメディアはがっとPVが伸びる模様。
つまり編集者も、その時間はアクティブに仕事をしているので、そこを知っているだけでも打率は上がります。 - メディアへのコンタクトは知人の紹介がベスト。
単純にお問い合わせフォームに送るのと、実際の生身の人間に話しかけるのでは、
そりゃ響き度合いも違います。メディア側も、対応の限界はありますが…… - パートナーはよく考えろ!
信頼できるPR会社さんは多くいて頼もしいのですが、「Webマーケティングのプロフェッショナルである我々が、そのノウハウを駆使して御社のPRをします(ドーン!)」 といいつつホントにプロフェッショナルなのか分からないお方も増えているとのこと。成長業界に暗闇は付き物や…
PR会社さんやフリーランスのPRさんと組む場合、本当に信用できる方を見極めましょう。眼力。 - メディアに載ることをゴールにしない。
これは広報だけに言えることではないですが、その製品(サービス)があって
どのように社会が変わるか?まで描いていないと、ということです。
いかがでしょうか。このお役立ち情報たちよ、、!
あと「動画があるリリースは、すごく分かりやすくて良いですよ。」とか、「メールの表題、『○○社の○○です』みたいなタイトルじゃなくて、端的に内容書いてくださいね。」とか「プレスリリースをwordで送って来る企業さん、変更履歴がめっちゃ残ってるときありますよ。」(危ないw)とかとか・・・色々ワンポイントアドバイス(注意喚起?)もいただきました。
ちなみに「金曜日の夜」は編集部も飲みに出かけることが多いので、リリース送られても対応しにくいんだって。つまり、「取り上げられたくない失態系ニュース」などをどうしても出さなきゃいけない場合、あえて金夜にリリースを打つ企業も多いのだとか…(なんて裏技や。)
その他も連休の中日なんかは、メディア側の動きもゆっくりゆえに、リリースは控えた方が良いそう。
当然、相手も人間ですからね。思いやりをもってリリースを送るのだ。
そんなお話の最後に、
「そんな感じで皆様、『いい時間』を狙ってリリースを出していきましょう!」
という台詞で、岩本さんタームは美しく締められました。w
▲ ▲ ▲
お次は、砂流さんターム!
昔こちらのインタビューで、「広報は社長の次に外で自社の話をする人。」と話していた砂流さん。
それもなるほどなーというフレーズですが、現在の砂流さん流「広報とはこんな人」ってのが、こちらの5つ。
- 広報は、なんでも使っていい人
オフィスも、社長も、製品も、社員も、他社も。
手段を問わず、何でも使って広報できるのが、広報という役どころ。 - 広報は、くっつけていい人
場合によっては、他社商品もくっつけてもいい、広報はそんな立場。 - 広報は、遠回りしていい人
営業と広報の大きな違いとして、すぐに売り上げにならないものでも、
たくさんの点と点をつくっていって、いつしかそれが線になる・・・、
1年かけてそういう繋がりを築いていくのも、広報のしごと。砂流さんの場合は、パソコンを売るメーカーの広報なのに、あえて
パソコン専門誌ではなく女性ファッション誌とのつながりを作りまくっていたそうで…。(女性好きだからではないと明言)
すると「女性誌まわりでパソコン情報に詳しいのはエイサーの砂流さん」という唯一無二の立場になり、
「イマドキ女子の必須スマホ特集」のようなガジェット特集がたまにあると、
必ず呼んでもらえる人になった、というお話。(なるほど!)そんな遠回りをしていいのが、広報である!! - 広報は、中間地点にいる人
メディアと社内の中間に立っている。外で聞いた話をどのように持ち帰って、どのように伝えるか。逆もまた然り。外も中も見れる、俯瞰できるポジションが、広報。 - 広報は、忘れられないようにする人
砂流さんが一番伝えたいのはここ。
制作や営業で毎日がんばる社員は、毎日自社製品(orサービス)のことに注力しているから、当然その認知度あがっていると思ってしまう。
でも実際の市場では、実はそこまで認知されていない、ということも…。
だから広報は、社員が思う以上に執拗に、その会社の声を発し続けるべき。
目立ったリリースのない時期には、オリジナルで企画を立ててみたりと、
とにかく世間に忘れられないような工夫提案する。
それも、広報の仕事だということです。
どれもこれも、すごく「人間力」の要る仕事だなぁと思わされます。
(その証拠に、砂流さんから湧き出るオーラ、めっちゃいい人なんですもん。)
更には、砂流さんが「広報で大切にしていること」を色々と伝えてくれたのですが、
その中でも大切にされているのは、こちらの2つ。
1つめは、岩本さんと近い考えでもありますが「業界を勝手に背負って、その代表として話をするんです!」ということ。つまりは自社製品だけではなく、他社製品のことも詳しくなって、全てを俯瞰して伝える(という中で自社製品をしっかりちゃっかり伝える)。
そんな立ち位置の人からのお話はきっと面白くて、すごく使えて、編集者さんからも引っ張りダコだろう!その立場になれば、自社製品のPRだって出来るということです。
2つめは、「この商品はどんなスペックか」ではなくて「この商品を購入すると、どのようなライフスタイルになる/効果がでるのか」などの、最終イメージを伝えておいたほうが良いってこと。
記事を読むお客さんは専門家じゃないから、それぞれの詳細スペックよりも、その先のほうが知りたいですからね。ついつい中にいると、商品のことで頭がいっぱいになりがちですが、お客さんのライフスタイルまで想像して伝えていくのも、広報の役割なのでしょう。
広報って、想像して、狙って、思いやって、、、そんなやり甲斐ある仕事なんだ。。。
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その後も具体事例を出したり(ネット掲載微妙な気がするので割愛いたしますが)と「いい時間」は大いに盛り上がり・・・・最後はお2人への質問タイムとなりました。
Q.「どうやったらメディアに沢山取り上げられるんですか?」
A.「沢山取り上げられる…というか、取り上げられる数は少なくても、一度取り上げられたらそれをしっかり利用することが大切ですね。一度テレビに出たら、出っぱなしにしない。リアルタイムにテレビを見てる人は実はそんなに多くなくて、「テレビに出たことをなんとなく知ってる人」をいかに増やすか。だから、「テレビ掲載されました!」などはじゃんじゃんアピールした方がいいです(砂流さん)」
というところで、LIGのゴウさんが
「うち、先日世界一即戦力な男の菊池のWEBドラマが地上波で放送されたんですけど、まじそのこと、放置してましたわ・・・あれもっと、後からでもブログとかで伝えるべきだったのか・・・」と全力で後悔されてました。
なんたる菊池の持ち腐れでしょうか。
その本人も、うんうん、という顔で最前で聞いてました。勉強熱心な即戦力です。
Q.「広報担当がメディアに対して一番やっちゃいけないことは?」
A.「解禁時間ですね。一つのメディアでだけ解禁を早める、というのは絶対やめたほうがいい。メディアが勝手にすっぱ抜きで出しちゃうのは仕方ないけど、裏で組んでるのは良くない!やっちゃだめ、というか、やられると悲しくなっちゃう。
あ、あと、安易に「世界一!」とか使わない方がいいですよ。本当に世界一なのか、裏が取れてないと、書けないし…。(岩本さん)」
Q.「5年前くらいの広報と、今現在の広報で変わったことといえば?」
A.「WEBメディアの媒体数が増えたこと。ブログがやっぱり力を強めたこと。
それと昔はニュース媒体だけだったWebメディアも、今では色んな方向性のものが出来て、「おもしろ」をコンテンツとして取り扱う媒体も増えました。」
LIGさんのブログとか、まさにそうですね!
Q.「広報って営業と違って、具体的なKPI(数値的目標)を設定しにくいと思うのですが、どのようにして計測していますか?」
A.「競合他社を設定して、そことの露出度数を比べてます。それからTwitterなどの反応をみて「どのように社会をかえたか」というのをレポーティングしたりしています。(砂流さん)」
Q.「SNSなどでは個人のアカウントを持って発信されていますが、そこと企業の発信とをどのように切り分けていますか?また、そこで困る事などはありますか?」
A.「個人の発信において特に大きな制限はありませんが、Twitterでは政治ネタは書きません。いろんな意見があって、どうしても炎上しやすいので。それと当然だけど、他社の悪口はオンラインでもオフラインでも言いません。他は超自由です。(砂流さん)」
ここは、ソーシャル時代にどの企業も頭をかかえているところじゃないでしょうか。。私もなかなか悩ましいし、さ。。。
でもその悩みをも超えて、最後の岩本さんからの言葉がぐっときた。
「いろんなハウツーもあるけど、結局は自社のことが好きかどうか、が本当に大事。
好きじゃないもののことは良く言えないし、無理矢理キャラクターを演じてる人は嘘っぽい。
本当に好きな人はわかります。『記事にしなくてもいいから、ちょっと聞いてよ!!』ってくらい、
自社のことを話したい、そんな人じゃないと、広報は出来ないですよ。」
これ、めちゃ基本的なことだけど、きっと色んなとこが出来てないことな気がする。
「好きだから広めたいぞ!」っての、私の人生目標(?)に被る部分も大きいのですが、
たくさんのハウツーはもちろん、人間的な、ベースにあるアツい思いに触れられたということが
なんだか本当に嬉しくて、まさに「いい時間」でした。
二人とも、モノを愛して「広める」ことのできる、
心ある方々で、その繊細な思いやりなんかが、人を引き寄せて、メディアを引き寄せて、
結果として、広報の成功に繋がるんだろうなぁ。
広報って、めっちゃ奥が深い職種だ。
びっしりメモった今回の「いい時間」。
これからの日々に少し不安を抱えていた私にとっても、とても勉強になりました。
その後のカレーも、交流会も、おいしくたのしく素敵な時間だった。
運営のみなさま、ありがとうございました!
…といいつつ、いつの間にか私も運営スタッフに名前が入っているw
そう。前回のイベント終了後に、爆速でレポートを書いて提出してみたところ、
「こいつなんか、速いの出してきたぞ!!!」ということで、仲間に加えていただいたのです。
しかし。しかしですね。
「いい時間」の運営には既に、「ヨシキさん」という公式レポーターがいらっしゃいまして……
つまり、「公式レポーター」と「非公式レポーター」の仁義なき戦いがはじまり、
このイベント当日も先方からは「あら〜〜インターネットで有名な塩谷さんじゃないですか〜〜〜、ぼくのカメラは良いヤツ渡してもらってねーー公式で!!!」という
見え見えの敵対心をあらわにされながら、今回のレポートは双方で制作されているということです。
ヨシキ・・・・・(負けない・・・!)
※後日、和解しました。
それでは、ここまで読んでいただいて、本当にありがとうございました!
次回の「いい時間」も、どうぞお楽しみにーーー!!!