初更新はこの人。chiaki kohara — 小原千明さんと話しました。
明るくて可愛くて奇抜な絵を描く人、って思っていた人は、絶対絶対読んでください。
そうなんだけど、そうじゃないんだ!
前半は私の知ってるchiakiさんのこと、
後半は2013年の年末に全力で話してくれた、今の心境です。
小原千明(コハラチアキ|chiaki kohara)
1986年7月7日 大阪生まれ 三人兄弟の長女
職業 絵描き
大阪・豊中の商店街にて
■出会いとこれまで
2009年、大阪のART STREAMというイベントで私は「CHIAKI」さんに出会いました。
その時既にユニクロのコンペで草間彌生賞を受賞していたCHIAKIさん。
可愛すぎる容姿と服装は、誰よりも目立っていたし、誰よりも近寄りがたかった。w
いざ作品を観てみると、その強烈な世界観にただただ圧倒されました。
当時の作品。ゴリゴリした質感は、下地に紙やあらゆるモノを敷いてるからです。
それから1年半程後になって、DMO ARTSがオープンする際に、
最初の展覧会を飾ることになったCHIAKIさん。
そこで、本人と、digmeoutの谷口さん、古谷さん、慎平と私とで作戦会議をして、
「とりあえず名前がCHIAKIだと、検索にもかかりにくいし、名字つけてたらどでしょ?」
という私の提案が通り、chiaki koharaになりました。w
更には芸能人みたいに可愛い彼女の容姿やファッション性も
出し惜しみしないでおこうよ、というとで、
当時私が発行していたSHAKE ART!の表紙も飾ってもらう運びになりました。
学生フリペだとはいえ、アート雑誌と言いつつこの表紙にしたのはかなりチャレンジング。
これに関しては私も色んな意見をもらったけど、それ以上にchiakiさんは色々言われただろう。
でも、これがフックの1つともなって、彼女は大阪発のアートシーンにて、瞬く間にアイドルになりました。
個展開催時も、イラストの仕事が終わると毎日会場に駆けつけて、
いつもニコニコと接客したり、丁寧すぎるくらいにサインをしたり、
喉がかれても、熱が出てもずっとずっと笑顔で、彼女のサービス精神は桁違いだった。
取材をしても、いつも「ありがとう!!!」と全力で感謝してくれて、
みんなに愛されるchiakiさんだった。
でもそれは彼女の「表の顔」という訳ではなくて。
道でつまづいた盲目の人に、誰よりも速くかけよって、
ころがった白杖をわたしてあげる。そんな人。
困った人が前にいれば、誰よりも心配して、誰よりも気を使うのが
小原千明という人なんです。
■小原千明のこと
彼女は、大阪生まれの、3人兄弟の長女。2人の弟、そして愛犬のチョコもいます。
ライブペイントの時は、いつもお母さんが応援に駆けつけてくれます。
底抜けに明るくて、誕生日にはプレゼントが100個近く届き、誰がみても羨むほどに可愛いchiakiさん。
chiakiさんみたいな美人で面白い人に生まれたかったなぁ、なんて思っちゃうくらいに。
でも、初めて彼女のプライベートな話を聞いたとき、
衝撃でした。
想像出来ないくらいに、暗くて、深刻なバックグラウンドを持っていた。
それはきっとまだ表には言えないけれども、その状況は千明さんにとって
直視しなきゃいけない、過酷なものだった。
更には、その現実を乗り越えるための力を
自分の腕で、絵で、開拓しようともがいていた。
「私は勉強が出来ないし、絵以外の道では、人並みに仕事も出来ないと思う。
それじゃ、周りを幸せにすることは出来ない。私はそれじゃ駄目だから。
私には、生きるか、死ぬか、絵を描くかしかないから、どんなに大変でも描き続けるんだ。
絵は昔から私の味方だから。味方を掴んだ手は絶対に離さない。
それで周りの人や、昔の私みたいに苦しんでいる人のことを、絶対に幸せにする。」
それは、夢や理想…というよりも、強い強い使命感だった。
誰よりも辛い経験をしたから、誰よりも人に優しいし、
どんなに辛い状況になっても、ひたすら希望を捨てないで描き続ける、努力の人だった。
千明さんは、どんな人になりたいの?って聞いたときに、
「マイケル・ジャクソン!!!」
って即答した。
無償の愛を与える、そんな存在でありたいって意味で。
小原千明は、命を掛けて絵描いてる。
そのエネルギー源は、周りへの底なしの愛情だった。
その話聞いて、すげえ、って思って涙出た。
■アイドルじゃない。絵描きでもない。職業=人間(女)になりたい。
ここからやっと、現在の話。
現在DMO ARTSで開催中の個展のタイトルが「カクメイ展」なのだけど、
それは彼女の中で「革命」でもあり「明確」でもあるとのこと。
「これまでやってきた事、これからすべきこ事をメイカクにしたい。
そして、私にとって絶対に必要なもの、必要じゃなくてもあったら安心するもの、
そんな風にしっかり選んだものをノアの箱船のようなものに載せて、
次に運び繋げたい。みんなと一緒に
新しい世界に行きたい」
と言ってた。
一歩一歩を丁寧に歩む千明さんらしい、未来の見据え方。
これまで怒濤の日々だったからこそ、「メイカク」にする作業が、必要なんだなって。
カクメイ展 展示風景 制作途中の立体作品の構想が壁一面に。制作資金はクラウドファンディング中。
そしてその明確にする仕分け作業の中で、
一番疑問にあがったのが、自分自身のこと。
いまやchiaki koharaは大阪アートシーンのアイドルで、
どんな時もハイテンション、カラフルで奇抜なファッションで、
ニコニコ話し続ける、個性派アイドル。
でもこの方向性は、未来の私にとって違うんじゃないか、って。
本当は心の中に、誰よりも愛情深いことばを沢山持っているのに、
表層だけが消化されてるんじゃないのか。
深くまで知ってくれるファンの方もいるけど、
アウトプットが派手だから、気持ちが届きにくい形になってるんじゃないか。
そんな疑問が生まれるのも必然。
chiaki koharaアイドル化計画を最初に提案したのは誰でもない、私だったので、
ごめんね。辛いこと強要させてたよね、と思った。申し訳なかった。
でも彼女は私達の願いに全力で答えてくれたし、やっぱりその姿はアイドル(みんなのキラキラした憧れ)だった。
でも、3回目の個展を迎えて、年齢も、立ち位置も、もうそこじゃない。
ここまで彼女の容姿は武器になったかもしれないけど、
本当の本当の彼女の武器は、屈強で底なしに優しい内面。
どんな状況でも、明るい未来を創ろうとする強い意志に、それを伝える力強い言葉。
愛されキャラクターとしての露出が強すぎて、それを今まで、表に出しきれずに隠してたんだ。
でも、そのキャラクターを捨てることは、リスクもあるかもしれない、という話しになって、
「人生を掛けて表現で勝負していきたいから。リスクは大きいに決まってる。
それよりも、私には生きるか死ぬか絵を描くか…の三択しかないのに、
いままでわたしの味方でいてくれた絵や、
そこに込める気持ち嘘をついてしまったら、死んだも同然。
リスクがあっても、がっかりする人がいたとしても、全力でパワーを出すためには、
正直でありたい。期待されたとしても、アイドルではいたくない。」
って言って、千明さんは泣いてた。
素になるときは、いつも黒いジャージなんだって。よく見る派手なドレスとは、えらい違いだ。
私は、この人ほど愛情深い人を知らないし、
多分この人にはアーティストという肩書きはしっくりこない。
愛情をそのまま仕事にしたような人。
肩書きは、「女」あるいは「人間」がいいって、本人も言ってた。
そんな職業ないし、いばらの道だし、大変だと思う。しんどいと思う。
でも、
「やらない理由なんていくらでも言える。あげだしたらキリがないから。
お金がなくても、どんなにボロボロになっても、私はやる。
それで私はやっと、生きてるってこと体感できるから。
生きてる最後までキラめきたい!」
そう言って、
思いっきり話せてスッキリしたーーー!って笑った顔は、
ほんとーーーーーーーに素でかわいかった。
私は、同時代に大阪で、この人間、小原千明に出会えたことを超誇りに思うよ。
こんな人に出会えちゃうから、もっともっと伝えたいって思えるし、本当に感謝している!!!
★★★追記★★★
2015/9/13(日) @渋谷Fabcafeにて、chiaki koharaのトークがありますよ!!要予約!
http://fabcafe.com/tokyo/events/worcre_vol3