ボーっとしてても王子様は来ない。トップクリエイターに聞いた「ご縁のつかみ方」


ちょっと、好きな詩のご紹介。

 

「この人ゴミを押しわけて、はやく来やがれ、王子さま。」

 

これは、アーティスト・イチハラヒロコさんの有名なヤツですが。王子様を待つ乙女のはずが、スタンスが雄々しすぎてぐっと来る。この詩を初めて見たのは確か中学生の頃だったけど、見た瞬間ニヤーって笑っちゃった。
こんな自虐コンテンツを現実にて振りかざしてしてしまうと、強く願う思いとは反比例して王子様は遠のくし、薄幸オーラが降り積もるし、請い願って、思い詰めて、悲壮感ただよう頃には、お決まりのように貧乏くじを引いちゃう。どんどん不運がつもっていく、そんなことって、あるよねー、って。(ない人もいそうだけど…。)

 

しかし。これは王子様に限らない話で。
おみくじでいう「待ち人」というものでしょうか。来る人にはバンバン来るし、なぜかとことん来ない人もいる。それは悲しくも万人に平等ではなくて、一体、どこで二極化しちゃうんだろうな、っていつも不思議に思う。

 

 

私は「来るとき」と「スッカラカン」が2年交代くらいでやってくるんだけれども、もちろんできれば常に「待ち人来る」および「王子様ご来訪」状態でありたいわけです。
先日お邪魔した、トップクリエイターの方々による『つくる人に必要な縁』というトークイベントがとても面白かったので、久々にがっつりブログを書こうかと!『つくる人』ということで、ものづくり・情報発信していく人には特に読んでいただきたい所存です!!

 

 

 

 

1月10日、超お天気の土曜日。スカイツリーのふもと、墨田区・押上で『縁』をテーマにした展覧会が開催されていたのです。展示をされているのは、放送作家・倉本美津留さんと、アーティスト・高橋理子さん

倉本美津留さん

倉本さんは、ダウンタウン・松本人志さんの盟友としても知られる、バリバリの放送作家兼、シンガーソングライター。テレビネタにはやや疎い私ですが、空気公団とユニット結成されてたりして(その様子をCINRAでインタビューさせてもらってたりもして)肩書きに囚われずに面白いものを作って、面白く生きてる、なんだかとっても心地よい昇華活動をしつづける方だ…と、思っていて、この日はお会いできてテンションあがってサインまでもらっちゃった。

 

高橋理子さん

一方、高橋さんは、ものすごくストイックなアーティスト兼、デザイナー。彼女のバイオグラフィーに「物事の本質に意識を巡らせる状況への誘導」という言葉があったのですが、その言葉の通り余分な思想を削いで、本質に向かい合うことに対峙させよう…という姿勢こそが、彼女のクリエイション。その「姿勢」の強さは、ご本人を一目見ただけでビシビシ伝わりました。

 

愉快な倉本さん、ストイックな高橋さん。クリエイターとしては正反対に見えるようなお二人に、「つくる人に必要な縁って何ですか?」というテーマで、元「広告批評」の編集長でもある河尻亨一さんが質問攻めです。以下、気になった部分を抜粋していくのでどうぞ!

 

 

トークの様子だよ

河尻さん:「ご縁」って言うとなんだか抽象的な感じになりますけど、お二人って実際「この辺の縁を攻めとこう!」って意識的に動いてるんとちゃいます?

 

倉本さん:私は自然に任せてますけどねぇ…でもしいて言うならば、偶然にものすごく敏感なんですよ。もともと僕、歌手になりたかった。でもテレビのADをしてて、そしたら「君は作家になれ!」と言われて放送作家になって、その筋では認められて……でも、歌の方ではなかなかね、良い曲作ってるのに、世の中の蓋が開かないんですわ(笑)。

それでも僕はずっと、誰しもの心に刺さる「童謡」を作りたいと思ってた。いつか「みんなの歌」をやりたいな〜…と思いながら恵比寿の狭いライブハウスで自作の曲を歌ってたんですわ。そしたら、たまたま、NHKのみんなの歌担当の人がその会場にいて、声を掛けてくれてたんですよ!

彼は会社で僕の曲をプレゼンしてくれた。でも局内の反応は「曲はいいけど…この歌手は……え、倉本美津留? ダウンタウンの? あの人歌手じゃないでしょう!」って。

 

「曲はいけそうなんですけど…歌ってくれる有名歌手が必要で…」って言われて、色々提案してくれはったんですよ。でも、あんまりピンと来ない。僕だって、そんな知らんヤツに歌って欲しないなぁ〜! って(笑)。僕の方でも色々考えたけど、フィットする歌手がなかなかおらへんかった。

 

そんなことを片隅でずっと考えながら、銀行に並んで後ろを振り返ったときとか、大阪に帰省したとき、「お前、こんなとこで何しとんねんな!」って出会うヤツがいて。1週間に3、4回も出会ったんですよ。あまりにも会うウチに、「コイツ、もともと歌手やったやんか!」と思い出した。
それが、YOUというイカれたオバちゃんですわ!

 

ー「イカれたオバちゃん」という愛のあるなじりと共に、そこから出来上がったのが「YOUに美津留」というユニット。25年ほど前のこと、深夜番組で歌っているYOUさんを見て、ダウンタウンに繋げたのも倉本さん。そこからYOUさんは歌手ではなく、タレントの道に走るのですが……長い月日を経て、また歌手活動の方へ招くのも、倉本さん。そんな繋がりもあってか、YOUさんの熱望によって、倉本さんとユニットで歌うことになったそうです。そして念願のNHK「みんなの歌」でも放送。倉本さんほどの方でも、ずっと夢を持って、それを叶えるのって、すごい。(っていうかYOUさんって50歳らしいぞ。それ、すごい。こわい。)

 

最初には「偶然に敏感」と言いつつも、倉本さん流の「縁のつかみ方」は「行動すること」「発信すること」「こいつなんやろ? と思わせること」だと言ってました。AD時代から、首からゴーグルを引っ掛けてみたり、腰から手ぬぐいぶら下げてみたり、常に「つっこみ待ち」だったそうで(笑)。確かに私もトークの前に「派手なお洋服ですが……寒くないんですか?」と突っ込んでしまった…!

 

対する高橋さんは、完全なる反対意見です。

 

高橋:私、目立ちたくないし、人見知りなんですよ……。

 

ー明るいピンクの着物で誰よりも目立っている高橋さんなので、河尻さん・倉本さん両氏からすかさずツッコミが入るんですが、「それでも私は目立ちたくない!」と断言する高橋さん。

高橋さんは高貴です
 

高橋:私、普段は無地の服しか着ないし、地味なんです。派手な服を着て歩くと、倉本さんみたいな人に声掛けられちゃうかも知れないし…。(会場爆笑)

私が気をつけているのは、自分の佇まいです。電車に乗っているときの姿勢や、鞄の持ち方…細かいですけど、そんな所作から自分の持っている空気が出ていれば良いし、それを汲み取ってくださる方とお仕事をしたい。
「縁」は大切なものですが、私はあまりそこにガッつかないかもしれません。作家活動を始めた頃は、名刺を配ることも大切だと思っていたのですが…でも、結局大切なのはそこではなかった。どうしても会いたい人は調べてでも会いに来てくれるし、私からも調べます。

今この瞬間を最高の自分を出して生きるんです。そうしていると、同じように神経を研ぎ澄ませている人に出会いやすくなる。だから、ボーッとしていたら気づかないかもしれません。「考えて生きる」ことをしていれば、いろんなことに気づけると思うんです。

 
 

気のせいか、高橋さんがお話をされていると、会場に座って聞いている人たちの背筋がピーンと伸びました。私は猫背なのでドキドキしました。

 

「こいつ何やろ?」と思わせる、倉本さん流の「縁」につながるネタの仕込み方。これはとても世俗的でにぎやかな、足し算の思想。

一方、自らの神経を研ぎ澄ませることで、見る目を持った人たちを引きつける、高橋さん流の「縁」への心がけ。これはきっと、ひとつ筋の通った世界に通じる、引き算の思想。

 

お二人の「縁」に対する姿勢は、本当に正反対だったのですが、だからこそ面白くて、めちゃめちゃ勉強になった!

全部はとても書ききれないのですが、こちらに動画がUPされているので、ぜひ見てみてくださーい!

「お二人のとってのターニングポイントとなる縁は?」という質問からの、倉本さんと松本人志さんの話、そして高橋さんと三宅一生さんのお話なども……。ミーハー心くすぐられまくりました。

 

 

そうそう。トークの内容ばっかりになっちゃったけど、1階では倉本さん、高橋さんの作品が1月いっぱい展示中。(そちらがメインです!)

豪華絢爛
会場はこんなにもお目出度い様子! 初詣に行ったきもちになれます。

だるま
メインの展示作品である、高橋理子さんと本展覧会「縁起門」共同制作の、縁起達磨。めちゃくちゃカッコイイ。
http://www.engi-mon.com/product/post580.html

 

なんて読むんや
倉本さんの展示は「エンギナ」という、外国の名前や社名に縁起のよい漢字を当ててみるという作品。
http://www.engi-mon.com/engina/
「通意多」と書いて、Twitterと読んだり。「未来助母舞一致」と書いてミラジョヴォヴィッチと読んだり。

※参考画像ね
ミラジョヴォヴィッチ
http://trendy.nikkeibp.co.jp/lc/passion/071101_milla/より

倉本さんの「笑わせたろ」精神が、どのエンギナにも染み込んでました。

さらにその場で、様々な人名や社名を「エンギナ」化していく倉本さん。
高橋さんの「ヒロコレッジ」というブランド名は

ヒロコレッジ

なんとも勢いのある「広呼烈血」という文字にて表現されました。確かに、高橋さんから湧き出る空気にはそのような勢いがあるです……! その場でどんどん「エンギナ」を生み出していく倉本さん、頭の構造どうなってるの!!! と思っちゃうくらいでした。

外から

美味しすぎる、力士の方によるちゃんこ鍋のサービスがあったり。(2杯食べた)
おすもうさんちゃんこ!

「明日から春場所なんすよー!」って言ってはった。

倉本さんがみんなの歌でYOUさんと歌った曲「月」を、披露してくださったり。

シンガー倉本さん

じん……とした。。

 
 

参加無料なのに甘酒までいただいたり、色んな縁起モノのプロダクトの販売もしてたり、色々ありすぎるんだけれども、これも1つのまあるい「ご縁」という感じで、とっても豊かなイベントでした。展覧会自体は今月いっぱいやってるみたいなので、ぜひ詳細はこちらで〜! 展示会場である、高橋さんのスタジオもめちゃくちゃカッコイイ。
スカイツリーの超、近所です。
http://www.engi-mon.com/column/post562.html
木、日曜はお休みのようなのでお気をつけを!!
 
 

そんなこんなで、2015年の「ブログはじめ」となりましたが、なんか幸先良い話題だったんじゃないでしょうか(自己満)。今年はおみくじも大吉だったしな。

今年は引き寄せていければ、、、いいな。2015年も、どうぞよろしくお願い申し上げます!